モチベーション

コロナ禍でリモートワーク中心になってきた世の中で、あなたがやる気、集中力、記憶力、ストレス耐性を失うのはあなたの気合や仕事への興味が不足していることが原因ではない。有酸素運動が不足しているために自分が持つポテンシャルを発揮できていない可能性があるという話を自分の経験と一流の頭脳という本から得た知識を交えて伝えるためにこの記事を書くことにした。

コロナ禍で運動をしなくなった

コロナ禍以前は”健康と体力のために”会社から通勤できる距離に住居を構えることで、日常に運動を取り入れる戦略をとっていた。しかし、コロナ禍でリモートワークが増えたことで家から出る頻度が激減した。また、会社が恵比寿から横浜に移転したことで運動による通勤は困難になった。加えて生活で必要な物もほぼ全てインターネットで購入して外出を最小限に留めている。引きこもりの誕生だ。

運動を止めて起きたこと

リモートワークだと意識的に時間を取らないと日常的に運動というイベントが発生することはない。結果として運動をする時間がほとんどなくなった。その結果、何が起きるかをすぐ自覚するのは難しい。自覚症状が出てきたのはリモートワークが中心になって 1 年ほど経ってからだ。仕事のときの集中力と情報処理の能力が以前ほどないように感じられるのだ。”加齢が原因でしょ”と皆思うかもしれない。僕もそうだった。しかし、集中力と情報処理能力の欠如は10年前との比較ではなく、1年前と比べてだ。加齢が原因というにはあまりにも顕著だった。運動が完全に不足していると思うに至った決定打は健康診断の結果で 1 年前と比べて体重が 5kg 増えてたからだ。

ランニングを始める

流石にまずいと思い、仕事の休憩時間に数十分走る軽いランニングを始めた。ランニングは少し運動をするにはもってこいだった。運動着とシューズがあれば誰でもできる。また、運動をしてこなかった人がランニングをすると短い期間内で走れる距離がどんどん伸びていく。成長を感じられるまでの時間が短いのはモチベーションを維持するのにもプラスだった。そんなこんなでかれこれ数ヶ月ランニングをしている。そしてあることに気がついた。理由はわからないが以前のように仕事に集中できるようになったのだ。

人間には有酸素運動が必要

最初はランニングで体力がついたから仕事のパフォーマンスが上がったくらいに考えていたが、同じような悩みを抱えていた同僚が 一流の頭脳という本を科学的根拠がかいてあるとお薦めしていたので読んでみた。この本は脳科学の観点から有酸素運動がなぜ人間に必要なのかが書かれていた。端的に説明すると継続的に有酸素運動をすることで人間の脳は鍛えられる。有酸素運動後の数時間は脳が BDNF、ドーパミンなどの化学物質を分泌するためパフォーマンスが上がるということだった。これは人間は元来狩猟、採取、大陸移動をして生活をしていた生き物で体や脳は移動することそれらの活動に必要な反応と成長を見せるからだ。テクノロジーが急激に発展しようとも生物の進化は急激には進まないため、脳は狩猟をしていたときと比べて大きく変わっていない。だから、有酸素運動が必要なのだと。

有酸素運動がもたらす効用

有酸素運動ををすることで発生する脳内物質が我々の活動に良い影響を与えるというのはなんとなくわかったと思う。僕が抱えている問題に対してどのような効果があるか列挙してみる。

  • ストレスが溜まりやすくなった気がする
    • 有酸素運動(ストレスをかける活動)を続けることで、運動外でもコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌量が減るのでストレスが減る
  • 集中力が持続しない気がする
    • 有酸素運動をすることでドーパンミンやノルアドレナリンが分泌されるため集中状態に入りやすい。この効果は数時間続くため、朝に有酸素運動を取り入れると昼のパフォーマンスが上がる
  • 記憶力が低下している気がする
    • 記憶の中枢は脳にある海馬。有酸素運動をすることで発生する BDNF は海馬の成長を促し、記憶力が強化される
    • 一昔前に脳トレのゲームが流行っていた時期があったが、脳の機能を高めるという観点では運動が圧勝であることは研究で繰り返し証明されている
  • 以前よりやる気にムラがある
    • 有酸素運動で BDNF、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン などの物質が分泌されるため意欲が向上する

などなど。コロナ禍以前は毎朝数十分の運動をしながら通勤をしていたことで図らずとも自分のパフォーマンスは上がっていたようだ。これらを踏まえると、コロナ禍で家にこもっている人が集中力、記憶力、ストレス耐性を失うのはその人の気合が不足しているせいではない。有酸素運動をしなくなり、脳に必要な科学物質が不足してしまうことが原因であるというのはあながち間違っていないのではないだろうか。

著書でおすすめしている有酸素運動

著書では軽い息切れを起こす程度の負荷で数十分有酸素運動をすることで脳の成長とパフォーマンス向上を促すことが一貫して説明されている。特に BDNF という本書で奇跡の物質、脳内最強の物質[1]とされている物質は有酸素運動をすることで生成される。筆者がおすすめしている有酸素運動は以下のようなもの。

  • ランニング
  • スイミング
  • サイクリング
  • テニス
  • スキーのクロスカントリー

ウォーキングも著書の中では比較的おすすめの運動に分類されているが、軽い息切れを起こす(心拍を上げる)レベルの負荷でウオーキングするのは難しいと思うので素直にランニングをするのが良さそうだ。

まとめ

脳科学の本を大量に読み込んでいるわけではないが、データに基づく論理的な説明が多く腑に落ちることが多かった。僕のように運動が続けられない人は結局何か運動の効用を信じられる、自分を後押ししてくれる情報が必要なんじゃないだろうか。そんな人は一度この本を手にとって読んで見てほしい。運動の沢山のメリットを理解することでそれがモチベーションになるかもしれない。リモートワークが多くなった今こそ、意識して有酸素運動を習慣化することで自分の健康もパフォーマンスも最大に維持されるようにしていきたい。

[1]胡散臭くなってきたが著書では科学的な根拠とデータを持って説明している。

一流の頭脳
  • Author: アンダース・ハンセン
  • Manufacturer: サンマーク出版
  • Publish date: 2018-02-23T00:00:01Z